ムドラーとは身体の生命力に変化を起こす力を持った象徴的な手印、しぐさ、体位のことです。ムドラーは“封印”を意味するサンスクリット語で、プラーナを身体の様々な部位に導きそこにエネルギーを封じ込めて活用できるようにします。また、それぞれのムドラーには特定の働きと象徴があり、ムドラーを行うとその働きと象徴が持つ意味を封印し意識にも強く働きかけます。体・心・精神というテーマでそれぞれに効果的に働きかける3つのムドラーを3回に分けてご紹介しています。今回は3回目の精神に作用するムドラーです。
”精神” シャンムキムドラー
感覚器官を閉じ深い静寂を促すため”生命の源の封印”という意味からヨニムドラーともいわれます。規則的な呼吸と共に行うことによって感覚が内側に向かい心が落ち着きます。内面の状態が安定しヨガ8支則の第五段階のプラティヤハーラの準備となるムドラーです。
≪やりかた≫
安定した姿勢で座る。肘が肩の高さになるように両腕を上げ、親指で耳の穴をふさぐか、耳穴の前の突起を指で軽く押さえる。瞼を閉じ、人差し指と中指で瞼を軽く押さえる。薬指の先で小鼻を横から軽く押さえ、鼻腔を細める。小指は上唇のすぐ上に置く。内面に目を向けるようにしてできるだけ長くこの状態を保つ。
ムドラーは呼吸法や瞑想と一緒に行うことで自身の内側の幸福感や静けさに触れ、今この瞬間を存分に味わう経験をすることができます。